小雨にぬれた江梨子の墓標の前にたたずむ茂は、今日もまた江梨子との楽しかった思い出にふけるのだった。江梨子--そう茂が江梨子に初めて逢ったのもこんな風に雨の降る日だった。茂が下宿を引払って姉の嫁ぎ先の家に引越した日のことである。道に迷って困った茂が通りがかりの江梨子に話しかけたのが最初だった。偶然にも江梨子は茂と同じ伊豆の田舎出身で、茂の姉の家を手伝っているのだった。同じ家の中での茂と江梨子の生活が始まった。何かにつけてクスッと笑う江梨子は茂にとって、しゃくの種でもありあいらしくもあった。だが何かと茂の世話に心をくだく江梨子の優しさを知り、茂は江梨子が大好きになった。江梨子も茂が好きだった。茂が勉強する時には、何時までもつき合って身の廻りの世話をする江梨子。そんな二人の様子を心配した姉は、二人の仲を遠ざけようと江梨子を田舎へ帰してしまった。茂は悲しんだ...Add a plot in your language
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